夕学クロシング

日本に浸るクロシング

日本の文化や思想について、本当の価値を理解する人は少ない。料理研究家として和食の素晴らしさを伝える土井氏、東洋思想から日本の奥深さを伝える田口氏、福澤諭吉研究から当時の日本に根付いた思想を読み解く西澤氏より日本の素晴らしさを伺う。

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「レシピの無いもの」を伝えること、理解することの限界と打開策

日本の文化や思想について、本当の価値を理解する人は少ないものです。料理研究家として和食の素晴らしさを伝える土井氏、東洋思想から日本の奥深さを伝える田口氏、福澤諭吉研究から当時の日本に根付いた思想を読み解く西澤氏の3講演を通じて日本の素晴らしさについて意見を寄せ合いました。

◆感想と発見より
土井氏の講演に対しては、「今まで自分が考えていた調理の概念を根底からくつ返しました」「和えるには、ダイバーシティを日本の強みとするヒントがある」と。田口氏の講演に対しては、「今こそ東洋思想の教育(「人間はどうあるべきか」)が必要」、「自分というものをしっかりと磨けと言われているように感じた」「菜根譚を読んでみたいし、東洋思想全般に対して、今一度、学びたい」と。西澤氏の講演に対しては、「福澤自身の書籍では見えない思想や人となりを垣間見れて新鮮でした」「日々衰退を感じる日本において、福沢諭吉の思想がより脚光を浴びる必要があると思いました」と。3講演に対しては、「知識を与える以前に人間はどうあるべきかを徹底的に教えることの方が大事」「未来の日本のために、…日本の強みをベースにした教育への転換を早急に図らないといけない」「日本人の自然のとらえ方や美意識は独特で西洋から見ると斬新でイノベーティブなことはまだまだある」「西洋思想で東洋思想をリバースエンジニアリングして再定義するのも意味があるのかもしれない」といったコメントをお寄せいただきました。

◆創発のディスカッションとリフレクションより
創発では個人の価値感の多様化や効率化が進む現在において、「レシピのない、見えないもの」を伝えること、正しく理解することは極めて難しくなっており、その限界も感じられるとして、「『レシピの無いもの』を伝えること、理解することの限界と打開策」をテーマに考えました。まず、『レシピの無いもの』とは、「明文化した方がいいのに後回しにされているものと明文化することで本質が失われてしまうものの2つがある」「(レシピには価値を置いておらず)重要視してきたのは、気持ちの持ち方や姿勢」「奥にある思想も含まれる」と、多様な側面を持っていることを理解しました。その上で、それらを伝え、理解するには、「体験・感動の共有」や「共感を得るべく何度も伝え続ける」ことが大切であることを改めて確認しました。加えて、AIの登場により、「思想や文化の共鳴的伝承こそが、人間がいちばん力を入れてやるべきことなのでは?」という気づきや、ある意味クロシングも「レシピのない思考」の時間と言えるのではないかと、様々な気づきを得られた意義深い6月のディスカッションでした。(ファシリテーター鈴木)

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