夕学クロシング

「文化爛漫」のクロシング

文化は人の内面を育て、心を豊かにする。書く、描く、語る多様な文化の奥深さと楽しみ方について、小説家の浅田氏、落語家の馬焦師匠・荻野氏、妖怪文化を研究する小松氏というそれぞれの分野のプロフェッショナルからじっくりと伺う。

Description

無駄が文化を育てる(無駄の効用)

文化は人の内面を育て、心を豊かにしてくれます。小説家の浅田氏、落語家の馬焦師匠・荻野氏、妖怪文化を研究する小松氏という書く、語る、描くそれぞれの分野のプロフェッショナルの3講演を通じて、多様な文化の奥深さと楽しみ方に触れました。

◆感想と発見より
浅田氏の講演に対しては、「『読書は娯楽です』名言ですね。」、「本への接しかたの真髄をあらためて教えられた」、「創造は想像がないと生まれない、小説は想像力を涵養する、とのお話はごもっとも」と。馬焦師匠・荻野氏の講演に対しては、「フランス文学(ヨーロッパ)と日本の落語には共通点があることに驚いた」「知的かつユーモアがあり互いの掛け合いの息が合っていて心地よかった」と。小松氏の講演に対しては、「妖怪は人の心や気持ちを表したものなんだなぁ」、「妖怪を可愛いものにする日本人の独特な感性に惹かれた」と。3講演に対しては、「日本語はいかに大きな世界を(積み上げるのでもなく、捨てるのでもなく)小さな言葉に封じ込めるかが極意」「日本人は本当に「表現力」が豊かで繊細で、「楽しむ」文化が根付いている」といったコメントをお寄せいただきました。

◆創発のディスカッションとリフレクションより
創発では馬生師匠の「無駄が文化を育てる」のコメントから関連して「無駄の効用」をテーマに考えました。皆さんからは、無駄と思われがちな具体例としては「クレーム対応」「社内のちょっとした提案」などを、意味合いとしては「遊び」や「回り道」「道草」「投資」などに近いといった意見をいただきました。ただ、これらを無駄と考えるかどうかは個人の主観(例えば、「(時間軸として)長期的視点を持てるか」「プロセスを多面的に考えられるか」など)によるもので、「その人の考える「無駄」を通して価値観が見えてくる」との気づきもありました。

無駄が排除されやすい昨今ですが、実は組織においては「答えが一つではない時代における可能性の幅を広げる手段」、「レジリエンスを発揮する源泉」にもなり、一個人にとっても「『人間としての幅』になる」と、無駄の持つ真の価値にしっかりと目を向けることができた意義深い1月のディスカッションでした。(ファシリテーター鈴木)

Archive