夕学クロシング

形式と実態のクロシング

働き方改革推進の制度が整う一方で、現場からは実態を疑問視する声も聞こえます。働き方改革の本質を捉える重要性を説く高橋教授、安心と信頼から日本特有の社会構造に迫る山岸教授、女性マネジャーの実態を研究する高田教授の3講演から複合的に考えます。

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「なぜ信頼社会へ変われないのか」

制度が整う一方で、実態が疑問視される働き方改革や女性活躍推進において、私たちが向き合うべき本質はどこにあるのか。高橋教授、山岸教授、高田教授の3講演をヒントに考えました。さらに派生して「なぜ日本は安心社会から信頼社会へ変われないのか」についても皆さんと一緒に意見交換しました。

◆感想と発見より
高橋氏の講演に対しては「ビジネスモデル、組織論、キャリア形成にまで及ぶ変革だと気づかされた」「労務的な観点の話と思い込んでいたが、まるで違った」「濃密な内容で、いろいろな角度で何回も聴ける」と、山岸氏の講演に対しては「安心社会と信頼社会というとらえ方は非常に説得力がある」「生き方や今後の企業の成長にも重要な示唆を頂いた」「内部費用軽減より外部機会獲得にエネルギーを注げるように行動したい」と。高田氏の講演に対しては「女性ワーカーの各時代での意識の変化について考えさせられた」「男性との比較ではなく、ダイバーシティの中で語られるようになるといい」と。3講演を通じた感想としては「安心社会から信頼社会への転換が図れていないことが、現代の行き詰まり感の根本にあるように感じる」「大胆な改革を声高に主張するほど変えられないのかも」といったコメントをお寄せいただきました。

◆創発のディスカッションとリフレクションより
前回の議論を受けて、創発では「なぜ安心社会から信頼社会へ変われないのか」をテーマに考えました。皆さんからは「必要に迫られていないから」「安心社会であること自体が参入障壁になっている」とのご意見をいただく一方で、「信頼社会が絶対的にいいわけではない」「状況によって柔軟に振る舞いを変えていくことが大切」との意見を多くいただきました。またUber(車)やAirbnb(宿泊)は信頼社会ベースのビジネスモデルと言えますが、SNS、仮想通貨、通販サイトでのレビューは安心社会によって成り立っていると考えられ、具体的事例からも2つの社会が共存していることを確認でき、大変気づきの多い6月のディスカッションでした。(ファシリテーター鈴木)

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